本件P2譲渡証書には,譲渡人(登録義務者)の欄にP2の記名捺印が,
譲受人(登録権利者)の欄に原告の記名捺印があり,「下記の各著作物の
著作権(著作権法第27条及び第28条に規定する権利を含む)を平成8
年12月20日に譲渡したことに相違ありません。」との記載がある(甲
33)。
カ本件P3経由著作物の一部である宇宙戦艦ヤマトシリーズの著作権登録
原簿には,P2からP3への著作権譲渡の欄には,「この著作物について
平成八年十一月二十五日,左記の者の間に著作権(著作権法第二十七条及
び第二十八条に規定する権利を含む)の譲渡があった。」との記載,P3
から原告への著作権譲渡の欄には,「この著作物について平成八年十二月
二十日,左記の者の間に著作権(著作権法第二十七条及び第二十八条に規
定する権利を含む)の譲渡があった。」との記載がある(甲1の1ないし
4)。
(1) 前記(1)で認定した事実を前2 1 提にして,以下,甲3契約において,本件映
画の翻案権も譲渡の対象となっていたか否かについて検討する。
ア著作権法61条2項は,「著作権を譲渡する契約において,第二十七条
又は第二十八条に規定する権利が譲渡の目的として特掲されていないとき
は,これらの権利は,譲渡した者に留保されたものと推定する。」と規定
するところ,これは,著作権の譲渡契約がなされた場合に直ちに著作権全
部の譲渡を意味すると解すると著作者の保護に欠けるおそれがあることか
ら,二次的な利用権等を譲渡する場合には,これを特に掲げて明確な契約
を締結することを要求したものであり,このような同項の趣旨からすれば,
上記「特掲され」たというためには,譲渡の対象にこれらの権利が含まれ
る旨が契約書等に明記されることが必要であり,契約書に,単に「すべて
の著作権を譲渡する」というような包括的な記載をするだけでは足りず,
譲渡対象権利として,著作権法27条や28条の権利を具体的に挙げるこ
とにより,当該権利が譲渡の対象となっていることを明記する必要がある
というべきである。
原告は,著作権法61条2項の「特掲」があったというためには,翻案
権が当該譲渡の目的に含まれていることを終局的一義的文言で記載する必
要はなく,翻案権も譲渡の目的に含まれていることを十分認識できる程度
の記載で足りる旨主張するが,上記の説示に照らして,同主張が採用でき
ないことは明らかである。
そこで,甲3契約書に翻案権譲渡の特掲があったといえるかについて検
討するに,前記(1)のとおり1 ,甲3契約書には,「対象権利および権利行
使素材の所有権の一切を・・・譲渡し」(2条)との記載,及び「対象権
利」の定義として,「対象作品に対する著作権および対象作品の全部又は
一部のあらゆる利用を可能にする一切の権利」(1条の4)との記載があ
るのみであり,「著作権法27条の権利」又は「翻案権」等の文言を具体
的に挙げて明記して,同権利を譲渡する旨の記載はない。
したがって,甲3契約書には,翻案権を譲渡の目的とする特掲があった
ということはできず,また,契約書に明記はしないが譲渡の対象に含まれ
る旨が合意されたなどの特段の事情も認められないから,著作権法61条
2項により,甲3契約において,本件映画の翻案権は,著作権を譲渡した
者,すなわちP2に留保されたものと推定される。